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「糖尿病だけど、インプラントはできる?」と不安な方へ

インプラントと骨造成について説明する女性歯科医師のイラスト
「インプラントを考えているけれど、糖尿病があるから無理かも…」と不安に感じていませんか?糖尿病はインプラント治療のリスク要因のひとつとして知られていますが、必ずしも「できない」わけではありません。実際に、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値が安定している方や、きちんと血糖コントロールができている方は、インプラント治療が可能なケースもあります。
このコラムでは、糖尿病の方がインプラントを検討する際の注意点や、治療の可否、成功のためのポイントについてわかりやすく解説します。

糖尿病とインプラントの関係

糖尿病の方は、インプラント治療後に傷の治りが遅延や、感染症にかかりやすいなどのリスクがあります。これは、高血糖の状態が続くことで免疫力や血流が低下し、組織の修復能力が弱まってしまうためです。特にインプラント治療は、歯ぐきを切開して顎の骨に人工歯根を埋め込む外科的処置を伴うため、術後の感染予防が非常に重要となります。

そのため、糖尿病をお持ちの方がインプラント治療を希望される場合には、事前にしっかりとした検査や全身状態の評価を行うことが欠かせません。

糖尿病=インプラントNG?

糖尿病だからといって、すべての人がインプラント治療を断られるわけではありません。大切なのは、現在の血糖コントロールの状態です。特に重要なのが「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」という指標で、これは過去1〜2か月の平均血糖値を反映する数値です。
適切にコントロールされた糖尿病患者であれば、インプラント治療が成功する可能性は十分にあると示されています。
参考文献

HbA1cの目安

HbA1cが6.5%以下:インプラント治療の成功率は一般の方とほぼ同等
HbA1cが7.0〜8.0%:医師の判断で治療可能、感染予防対策が重要
HbA1cが8.0%以上:治療は慎重に。まずは血糖コントロールが優先

インプラント治療で注意すべきリスク

糖尿病のインプラント治療では、治癒力や免疫機能への影響によりリスクが伴います。これらを理解し、適切な対策を講じることが、治療成功のカギとなります。

感染リスクが高まる

糖尿病により血糖値が高い状態が続くと、白血球の働きが低下し、細菌に対する免疫力が弱くなります。そのため、手術後に細菌感染を起こすリスクが高まり、特に「インプラント周囲炎」と呼ばれるインプラント周囲の炎症や骨吸収が起こる危険性が高くなります。

感治癒力の低下

糖尿病では血管の細小血管障害により、患部への酸素や栄養の供給が妨げられることがあります。その結果、手術後の傷口の回復が遅れ、炎症が長引いたり、縫合部分の治癒に時間がかかる可能性があります。

骨の吸収

糖尿病の方は、高血糖や酸化ストレスの影響で骨が弱くなりやすく、骨吸収が進みやすいといわれています。これにより、骨の再生力が低下し、インプラントを支える骨が減少することで、インプラントが安定せず脱落するリスクが高まります。

インプラント治療で後悔しないために

糖尿病をお持ちの方がインプラント治療を安全に受けるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

血糖コントロールの継続

治療前だけでなく、手術中・術後においても血糖値を安定させておくことが重要です。血糖値が乱れていると、感染や治癒の遅れにつながる可能性が高まります。

医科との連携を図る

かかりつけの内科医と連携し、HbA1cなどの指標をもとにインプラント治療のタイミングを見極めましょう。医科と歯科が協力して全身の状態を管理することで、治療の安全性が高まります。

術後のセルフケアを徹底する

インプラント手術後は、傷口を清潔に保ち、歯科医師の指示通りに抗生物質の服用や消毒を行いましょう。さらに、禁煙や食生活の見直しなども治癒促進につながります。

まずは気軽にご相談下さい

当院では、糖尿病をお持ちの方にも安心してインプラント治療を受けていただけるよう、かかりつけ医との連携体制を整え、術前には健康状態をチェックします。そのうえで、専門医が治療計画を立て、術後も感染予防やフォローアップに取り組んでいます。
「糖尿病だからインプラントは無理かもしれない」とお悩みの方も、まずはお気軽にご相談ください。患者様一人ひとりの体調やご希望に合わせて、治療方法をご提案いたします。